庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 2002年5月 発行 No.85

紙マルチ田植えに取組んで

三川町 菅原 孝明

今年は、桜が平年より10日も早く咲き温暖な春作業で出発しましたが 平年になく寒い田植えになりました。昔から言われるように、季節はずれの暖かさが続くとその反動がどこかにくるという心配が的中してしまいました。強風と低温で苗は痛めつけられ、この頃インフルエンザが流行っているように、苗達も元気がありません。これからの天候の回復を願っています。
今年度から、有機栽培米面積の拡大を目指して協同ファーム組合員で、紙マルチ田植え機を導入しました。11名が取組み、慣れない機械の為みんな悪戦苦闘しています。
田面に除草対策として再生紙を敷きながら、その上に苗を植えていく田植え機です。苗の生育が遅れないように地温を上げる為、活生炭で着色した黒の再生紙を使います。60日間田面を覆い土に戻っていきます。除草対策としてはおおむね良好ですが、再生紙のコスト高が問題点として残り、又機械の作業能率が普通田植え機の3倍もかかります。後の草取り作業のことを考えて、ゆっくり進む作業です。

能率本位の作業を行ってきたいままでの考え方を大幅に切り替えなければなりません。今まで、合い鴨、鯉、トロトロ層等の農法を色々やってきましたが、サギに鯉が食べられたり、仕事を終えた鴨の処理に困ったり、苗のほうに害を与えたり、除草効果がいまいちだったり、どの方法も一長一短があります。紙マルチ農法の長所を生かし、沢山の有機米を皆さんにお届けできるよう頑張りますので楽しみにしていてください。

山形庄内平野の米作りが、小学校の社会科の教科書に載ったのがきっかけで、私の町では横浜の小学校との交流が始まり、昨年より農業体験として、田植え、メロン収穫などの2泊3日の修学旅行が行われています。その中で環境にやさしい農法という事で、私がやっている合鴨農法の田圃に見学にやって来ます。今から色々の質問がFAXで届いており、稲を食べる害虫はどんな種類がありますか等、米作りを一生懸命に勉強してきます。昨年は合鴨の役目を勉強してきました。鴨たちの役割は、草取り作業、虫を食べてくれる、土をかき混ぜて稲を元気にしてくれるなど、専門的な考えや見方がどんどん出てきます。その中で小学生に教わった事がありました。「鴨は、人を楽しませてくれます。」と言う意見でした。なるほど………

農作業の忙しさに追われ、ただ一目散に働くばかりでそんなゆとりがあったのか……と考えさせられました。いや私自身合鴨に楽しまされて農作業をしていたと再認識しました。
その鴨も今年は5月25日に田圃に入り、小学生は6月中旬にやってきます。今は、紙マルチ栽培の勉強をしているようで、賑やかな田圃のにわか学級で又今年も子供達に教えられることを楽しみにしているところです。この厳しい農業環境のなかでも楽しい農業をやりたいものです。

スケッチ

鶴岡市 冨樫 静子

今年は例年になく、季節が急いでいるようで、家のうらに咲くカタクリの花もいつもより10日位も早く咲きびっくりしました。また、小さな可憐な野の花たちも一斉に咲き、カエルも苗代に卵を産みつけています。自然の営みがやはり早くなっています。
1ヶ月前に播種された苗は、ビニールハウスの中で順調に育ち、グリーンのじゅうたんを敷き詰めたようでとてもきれいです。農薬を使っていない苗は、管理のミスで一晩で使い物にならなかったりするので気が抜けません。

昔から苗半作といって、苗の出来、不出来が収量に大きく影響します。栽培担当者の息子曰く「今年の苗は根っこが良くまあまあの出来ばえだの」就農3年目で少しずつ自信をつけてきたようです。
田んぼの代掻きも終え、いよいよ田植えのスタートです。庄内平野は息を吹き返した様に活気づきます。水田の水鏡にグリーンが映えとても美しい景色です。5日間かかりやっと田植えも終わりホッとしている矢先に、イネミズゾウムシの害虫が発生したと聞かされ、植え付けられたばかりなのに招かざる客の訪れに頭をかかえています。繁殖を抑える為に努力しているようです。

放っておけば葉や根が食害され、ひどい場合は稲がなくなってしまい、大変な減収につながります。安全な作物を生産するには、大変なリスクを伴います。手におえなくなる病害虫もあることを覚悟の上で、安全を第一に考え、作りたいように作っていく姿勢を変えず、家族が一つになって頑張っていけば、それに対する対策がみつかり乗り越えられるのだと思います。

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