庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 発行 No.97 2003年8月 

異常気象の夏

佐藤喜美 鶴岡市

 セミの鳴き声もあまり聞こえない、クーラーをつけるほどの暑さでもない、今年は8月2日に梅雨明け宣言をしたものの1週間後には撤回するというやはり相当異常な夏なのだろう。近頃、毎朝雨の降る音で目が覚める。「ああ、また雨か」仕事への意欲が半減してしまうが、その気持ちを奮い立たせ雨具を着て枝豆畑へ。

 我が家では、今シーズンからだだちゃ豆の作付面積の増大にともない、労力の軽減化を図るため、枝豆床土入・播種機・定植機を導入した。発芽率が70%の低さゆえに、直播ができないだだちゃ豆は移植栽培方式が用いられている。

稲作の管理と重なる忙しいこの時期、手間のかかるセル苗作りで、どの仕事を最優先するか夫婦ゲンカの種でもあった。しかし、機械導入により2人で作業しても1日かかる仕事が1人で半日でこなせるようになった。

4月の中旬から随時播種し、端境期をなくすために10種類もの品種を作付けしているが、8月に入ってからの日照不足、低温続きで1品種はおくれている。自然の前には無力を思い知らされ、空を見上げては恨めしく思っている。

 先日、山形新聞(地方版)の「私の主張」という欄に中学校以来の大親友の記事が載っていた。少し抜粋して載せたいと思う。彼女は熊本に嫁いで27年、時の流れを忘れさせてくれるものが、庄内の「だだちゃ豆」である。この時期になると彼女の元に彼女の父親手作りの「だだちゃ豆」が山ほど送られてくる。

送られてきた枝豆の量に驚きながら、熊本の家族全員でビールを片手に枝豆を頬張り、「おいしいね」「枝豆の王様だね」「日本一だね」「他では食べられないね」などと早口で言いながら食べている彼女に、ご主人も、子供たちも「またか」と笑いながら「うん、おいしいね」といって食べてくれる、との事だ。

 遠い地で、だだちゃ豆で『故郷を味わう』彼女の顔が思い出されます。最後に彼女はこう結んでいた。「私もいつの日かかめばかむほど深い味わいのある『だだちゃ豆』のような人生だね。」といわれるような人になりたいと。私も同感だよ。

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